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【2005-05-28】書評「子どもが危ない!」(江原啓之 著)

最近読んだ「子どもが危ない!」(江原啓之 著)という本について
以下のようなレビューを書きました。
blogサイト「新・後藤和智事務所 ~若者報道から見た日本~」の、
記事反スピリチュアリズム ~江原啓之『子どもが危ない!』の虚妄を衝く~を読んで
興味を持って購入してみたものです。
薄いので(ページ数でなく、内容が)すぐ読めましたが…
普通に文章を書いても おもんないのでいつものような形式にしてみる。

(引用は『』で囲み、小カッコ内に掲載ページを示した)

('"ニニ'"'      ← ソリッド・スネーク
( -_-) 大佐、最近この「子どもが危ない!」(江原啓之)という本を読んだのだが
..ヒ'二`(0      ← 大佐
( ・∀・) うむ
( -_-) これがまた酷い本で…
( ・∀・) どんな所がだ?
( -_-) まず第一にあまりにも非科学的・オカルト的であるということだ。
      『この世に生きるすべての人は、たましいを宿す霊的な存在です』(p16)など、
      科学的に検証されてもいない勝手な思込み等を自分の意見の前提にしているが
      こんな手法を使えばどんな無茶な意見も論拠なしに言えてしまうわけだ。
(; ・∀・) まぁ確かにな…刑事裁判で証拠も出さず(あるいは思い込みだけで)
      被告を有罪にできるわけないのと同様、ちゃんとした意見を述べるためには
      客観的な根拠がないといけないわけだからな。
( -_-) 第二に、これはメディアによく登場する三流評論家たちにもいえることだが、
      ワイドショーなどの報道で誇大に宣伝される表現などから得た思い込みを
      論拠とし、正式な統計資料等を無視していることだ。
( ・∀・) たとえばどんなだ?
( -_-) 以下のような感じだ。
      『今、社会では、少年犯罪の話題が後を絶ちません。』(p3)
      『神戸小学生連続殺傷事件や(略)その他、日に日に増え続ける少年犯罪。』(p3)
      等といかにも現在は少年の(特に凶悪な)犯罪が多発しているようなことを言っているが、
      書籍「反社会学講座」(パオロ・マッツアリーノ)等にも示されている通り、実際には
      戦後あたり(S20~S30頃)と比較して、凶悪犯罪(とくに殺人等)で検挙された青少年は
      現在にかけて明らかに減少してきているわけだが。
(; ・-・) うむ。
( -_-) 現在、マスコミ等で少年の凶悪犯罪が扇動的に取り上げられるのは、要するに
      「珍しい」「まれな」出来事だからじゃないのか?たんにこの作者は新聞等の報道を
      鵜呑みにしているだけなんじゃないのか。
( ・∀・) いわゆる「自称評論家」にありがちな事例だな。
( -_-) 第三に、本書の論理的な矛盾だ。本書では、「大我の愛」(=見返りを何も求めない
      無償の愛)を本当の愛とし、見返りを求める打算的な愛を「小我の愛」とし、親は子に
      「大我の愛」を注いだり、子の「大我の愛」を育ててやれ等と主張しているわけだ。
( ・∀・) まぁそれはうなずけるかも知れんな…
( -_-) だが、作者はこうも言っている。
      『(人が生まれる理由は)たましいを浄化向上させるためです。つまり濁りのないきれいな
      たましいになって(浄化)、成長していく(向上)ためです。』(p18)
      『私たちのたましいの究極の目的は、(略)この浄化向上をきわめ、やがて神の
      エネルギーと一体になることです。』(p19)
      で、この「たましいを浄化・成長させるため」には子供に「大我の愛」を与えるべき、
      打算的な「小我の愛」を与えてはダメだとのことだ。
( ・∀・) それが?
( -_-) わからないか?大佐。「大我の愛」とやらは、見返り、すなわち利益等を何も
      求めない愛のはずだ。だが、「大我の愛」によって「たましいの向上」や「神との
      一体化」(こんなオカルティックなことが本当にあるかは措いておく)等を目指す…
      こういう目的があるのなら、それはすなわち「たましいの向上」等という利益(見返り)を
      求めているということで、ぜんぜん「無償の愛」ではないじゃないか。
(; ・Д・) …なるほど。
( -_-) そもそも「無償の愛」なんて物自体が怪しいわけだが、とにかくこの作者の
      本書における主張が矛盾しているのは明白だ。
( ・∀・) オカルト系の本にはよくあることだがな…
( -_-) なお、この作者(江原啓之氏)のサイトに行ってみたのだが、こんなことが書いてあった。
      『本サイト内のすべての画像・文章等の無断使用、引用を禁止します。』
(; -Д-) ……う…うわっ…
( -_-) 公開著作物を引用できることは著作権法で示された正当な権利なのだが、この作者は
      その程度のことも知らないのだろうか。こういうところからこの作者の限(略)
(; -Д-) もうやめとけ…その辺で……

なお、AMAZONの同書(上にリンクした)のカスタマーレビューに
上と同様の文意の文章(ただし、800字以内という制限のため
かなり削ったり漢字や送り仮名を直したりした)を投稿しました。
掲載されるかどうかまだわかりませんが…

【2005-09-03追記】掲載されなかった(哀)
by masaki_tm | 2005-05-28 20:24 | 書籍(感想・批評など)
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