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【2004-07-28】我がバイブル「明るい悩み相談室」
中学の頃、土曜日だか日曜日だかに、家でとっていた朝日新聞の中ほどのページを何気なく開いた。
その時自分の目に飛び込んできたコラム。特異な視点、軽妙な文章、そしてメチャクチャな面白さ。引き込まれるように読んでいた。
それが中島らも氏の「明るい悩み相談室」との出会いだった。

コアな中島らもファンの方に怒られるかもしれませんが、私にとっては中島らも氏といえば「明るい悩み相談室」(以下「相談室」と略)でして、中学時代にはまってから連載終了まで毎週土曜の朝日新聞が楽しみでしょうがなかったものです。
また、朝日新聞社から出た単行本(文庫版ですが)も7巻全巻そろえたほどです。
「相談室」のどこが良かったかというと、第一に挙げられるのは「中島氏に対して読者から寄せられる悩み相談の内容がぶっ飛んでいること」です。
「相談室」ご存知でない方の為に幾つか紹介しましょう。
・「うちの犬のご飯(煮干しと味噌汁)をとなりの姑さんが嫁にのぞかせるんです」
・「うちの主人は家に帰るなり『衣服は束縛だ!』と言って全裸になり、料理を作るときも裸エプロンなんです」
・「私の父(39歳)は屁が出そうになるとガス警報機の前で尻をめくって屁で警報機を鳴らそうとするんです」

私は絶対にこれらは中島氏の作ったネタだと思っていたのですが、どうやら本当にこういう悩み相談が来ていたようで、世の人々の悩みとはかくも常人の想像を超えたものか、と思ったものです。

これらの悩みに対する中島氏の答えも、笑えるのも有り、教養にあふれたものも有り、比較的真剣に答えるのもあり、いろんな意味で面白いのですが、そのへんは「相談室」をお読みになったほうが良いかと思います。
特に印象に残っているのが「焼きじゃがみそ食べると死ぬ?」という悩み(「中島らものもっと明るい悩み相談室」朝日新聞社P133)についての返答です。
悩み(要約):「祖母から「じゃがいもを焼いてみそをつけて食べると死ぬ」と聞いた。「迷信だ」というと「本当だ」と真剣に言い張る。ホントに死ぬのでしょうか」
これに対する中島氏の答えの冒頭が…:

「この場合、迷信と言うよりおばあちゃんのおっしゃることが正しい。〔中略〕ほんとうです。〔中略〕今やがんを抜いて日本人の死亡率の何割かに達していると言う説もあります。

(「中島らものもっと明るい悩み相談室」朝日新聞社P133)

はじめて読んだとき物凄くあせったのですが、実は中島氏は続けてこう書いています。

〔前略〕今年九十八歳になるおじいさんなのですが、友人が診たときにはすでにご臨終でした、亡くなる前にひとこと、「おのれ、あのとき、わしが十二のときに焼きじゃがいもにみそをつけて食いさえせなんだら死なずにすんだものを」と言い残して逝去されたそうです。

(「中島らものもっと明るい悩み相談室」朝日新聞社P134)

98歳まで生きた人が 12歳のときに食べたみそつき焼きじゃがいもが死因で死んだと言うのもおかしな話で、要するに「人間いつかは死ぬから『焼きじゃがいもにみそつけて食べると死ぬ』ということ自体は間違っていない(食べたらすぐ死ぬとか、食べるとそれが原因で死ぬとか言うのではない)」というのが中島氏の真意だったのですが、マジに取ってしまった人が大勢いたらしく、連載当時 朝日に問い合わせが多数あって大変だったそうです。
(前掲書あとがきより)

(続く)
by masaki_tm | 2004-07-28 22:36 | 時事・News・訃報
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